子どもの挨拶に感動

朝、白湯を一杯飲んでから、エスプレッソコーヒーを沸かし新聞を読む。
それからおもむろにヨガをする、メニューは決めていないし、できない日もある。
そして台所に立ち、すこしばかりの家事をする、、、

そんな風に過ごす私の朝に、なんとも可愛い声で「おはようございます!」と声を聞くことがある。
私のアトリエ兼住まいはニコニコロードという小さな商店街のはずれにあるのだが、
そこを通る誰かさんの声だろう。
いつもだいたい同じ時刻、私の朝に響く子供の声、
もう子育てが終わっているからこそ愛おしく思う。
自分に言われていなくても、挨拶とはいいものだ、元気をもらう。

あ、また、あの声だ、、、と聞いているうちに、次第に興味を持つようになった。
どんな子かな?どんな親御さんかな?
そして、どんなおばさん?またはおじさんに挨拶をしているのかな?
とその背景まで想像し、その声の主を一目見たいと思うようになった。

だが、声がしたと思うと、窓を開けて通りを見るのだが、そこには影も形も無い。

仕方ない、、、と諦めていた私に、その日はやって来た。
なんと、目の前でその主は挨拶をしていたのだ。

帽子屋の向かいはライオンという床屋さんだが、朝はシャッターが降りていて
そこに大きなライオンが描かれている。
それは、もうとても古びていて誰も振り向くこともない。

保育園に向かうのだろうその子は父親の乗る自転車の子供席にチョコンと座り、
そのライオンの前で自転車がピッと止まったかと思うと、
「おはようございます!」とあの声で挨拶をし、そして風のように去って行った。

朝の店先で雑用をしていた私は、見るともなくその光景を受け止めて、「あっ!」と衝撃だった。
そう、あの挨拶は、シャッターに描かれた古びたライオンに投げかけられていたのだ。

衝撃は感動だ。

挨拶なんて当たり前といえばそれまでだけど、
純粋な子どものそれは、不思議とも言える力を持って、
お向かいの帽子屋まで聞いていて、朝の元気スイッチを押していた。

私はもうとても大人になってしまったので、あの子の真似はできないが、
純粋な気持ちを持って生きようとすることはできるかな。
大きなことを成し遂げようとするのは大変だけど、
足元の小さなところで、心の畑を耕すことに精を出すことにしよう。

それがまさにヨガかな、
帽子屋の店先でヨガをする、、、そんな瞬間を見ず知らずの子どもからいただいた。
17秋冬
アレンジベレーとスカラップワンピースの写真です。
この帽子の良さが現れていなくてボツにしたのですが、
庭先を背景にすると、また違った味わいがあります。
誰かさんに見てもらえることが励みになるので、こんな写真を今日の一枚にしました。