子どもの頃からお洒落は好きだったけど、
母から「チャラチャラするな」みたいに言われて
釘を刺されるように、お洒落はどこかにしまい込んでいた。
ところが私にお洒落の喜びを呼び覚ましてくれたのも母の一言だった。
「明日、あなたが何を着てくるのか楽しみなのよ」と。
私が大学3年の時に母は癌の闘病中で入院していた。
私はそれまでテニスに明け暮れる毎日だったが、それをキッパリ辞めて毎日病院へ通っていたが
私のお洒落で少しでも入院中のうさを晴らしてくれるのなら
母を元気づけたい私の心に灯りがさした。
今から半世紀近く前のことだ。
病院の面会時間は午後2時からなので
真夏の炎天下を地下鉄を乗り継いで千駄木の大学病院まで通っていた。
アスファルトの照り返しと蝉の声、今のこの暑さと何ら変わらない夏の情景が思い出される。
癌という病気が今よりもっと恐ろしさに覆われていた時代だったから
母を失うかもしれないという恐怖に比べれば
夏の暑さなど、つゆほどの苦にもならなかった。
今日はその服装で来たのね、と褒められようとしてお洒落をしたのは
当時の私のささやかな楽しみであったかもしれない。
この歳になってみると、お洒落はまさに元気を連れてくるもの。
流行にとらわれることなく、自分なりに楽しむこと。
帽子作りから洋服作りへと手を広げたおかげで
オリジナルの洋服も増えてきて、自分の作品を身に纏って出かけることも増えてきた。
SNSに今日のスタイルと銘打ってアップする私は
まるで天国にいる母に向かって見せていたのかもしれない。
写真はヨガウエアとしても活用できるようにと考えたオリジナルチュニック。
前見頃がダブルになっている。
胸につけたのはフィーリングで作ったコサージュ。
こんなのどうかな〜とイメージが浮かんで作り上げた作品は
評価を考えなければアートだと思う。
売るためのものではなく、自分を喜ばすためのエネルギーの発火だから。
だからお洒落もアートもショーウインドウや美術館で飾られたものだけでなく
私たちの暮らしの中に、あちらこちらに散りばめられている。
そう思ったら、どれだけ人生が楽しめるだろう。
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いつもお読みくださりありがとうございます。
友達に手紙を書くように書いています。
この頃、ぜんぜん帽子作っていないんですけど
帽子は私の夢の象徴なんです。
オールフリーにして書いています。
気ままな私の帽子ものがたり、ぜひ、お付き合いくださいませ。
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