子どもの頃からお洒落は好きだったけど、 母から「チャラチャラするな」みたいに言われて 釘を刺されるように、お洒落はどこかにしまい込んでいた。 ところが私にお洒落の喜びを呼び覚ましてくれたのも母の一言だった。 「明日、あなたが何を着てくるのか楽しみなのよ」と。 私が大学3年の時に母は癌の闘病中で入院していた。 私はそれまでテニスに明け暮れる毎日だったが、それをキッパリ辞めて毎日病院へ通っていたが 私のお洒落で少しでも入院中のうさを晴らしてくれるのなら 母を元気づけたい私の心に灯りがさした。 今から半世紀近く前のことだ。 病院の面会時間は午後2時からなので 真夏の炎天下を地下鉄を乗り継いで千駄木の…
お洒落
