実は、私は孫なる存在に本当に興味が無かった。
でも、生まれてみると家族も驚く変わりようである。
と書くと「そうそう、皆、そう言うよね、、」とありふれた話のようだけれど、
私的にはちょっと違う。
孫に接していて思うことは
底抜けの明るさと楽しさと優しさである。
ただ、可愛い可愛いというのでもない。
新鮮な驚きというか、自分を思い出すというか、
いえ、自分だけではなく人はもともとこんなに明るくて
優しい魂を持った存在だったのかと思うのである。
還暦を過ぎて孫を得たことで予想もしなかった自分に出会っているように、
人生は思いがけない展開が用意されているものである。
生きてゆくことは、そのドアを開けることだ。
シャベルで砂場の砂をかき出すように、
彼の天性の明るさで人の心の底に眠る共通項を
どんどん掘り起こしてほしい。
そうしたら、もっと優しさに満ちた世の中になるのではないかな。
そんな彼の足元からそのずっと先まで幸せでありますように。
帽子を作りながら、祈りにも近い思いがこみ上げてきて、
思わずペンならぬキーを叩いている。